日本若者協議会では、将来視点で行動する”若者のミカタ議員”を2030年までに日本全国で4000人誕生させることを目的に、「若者立候補育成プロジェクト2030」を実施していますが、2023年に行われる統一地方選挙で、若者が望む政策(末尾)の実現を目指す若者(39歳以下)を、若者のミカタ立候補予定者として認定し、当選に向けて支援したいと考えています。
現時点で認定している「若者のミカタ立候補予定者」は、下記になります。 https://youthconference.jp/archives/6297/
今回は、無所属で、東京都大田区に出馬予定のおぎの稔さんのインタビューを紹介します!
インタビューは、2023年2月上旬に行いました。
おぎの稔さんプロフィール
1985年生まれ。非正規雇用、日雇い派遣の現場を体験、またNPOで障害者支援の現場に携わる。2010年に起きた東京都の表現の自由を巡る問題では、市民団体に所属。団体の渉外担当として議員、役所との折衝を行い都知事提案条例を一時、否決に追い込む。群馬県立伊勢崎東高校卒業。アミューズメントメディア総合学院卒業。2015年、大田区議会議員選挙で初当選、現在2期目。2020年より議員系Vtuberとして配信活動を開始。
----政治家をなぜ目指すようになったのですか。
私にはてんかん(大脳の疾患)という持病があります。てんかん発症後1年間は自動車免許を取得できないことを知らずにお金を払ってしまい、全額返金してもらえなかったことをよく覚えています。また同居していた家族が自殺した経験も持っています。こうした背景から社会問題に関心を持ち、NPOなど社会活動にポツポツ参加していました。
政治家を目指したきっかけは、石原都政時代に議題となった東京都青少年条例に関わったことです。簡単に言えば「漫画やアニメのこういう描写はけしからん、もっと規制しろ」「そんな規制はやめてくれ」というお話でした。規制反対派の事務局として活動し、漫画家や議員の協力のもと同条例を否決することができました。小さな一歩でニッチなジャンルの話ですが、「世の中はこんなふうに変わるのか」と政治を通して社会を変える活動に面白さを感じました。
その後、ある政治家から声をかけられ秘書になりました。私はもともと漫画関係の専門学校に通っていました。地域の人たちと会う中で、文化芸術の話をよく知っている人が政治行政には少ないことに気づきました。「自分みたいな人間が政治の世界に入ったら、もっとできることもあるしもっと変わることもあるんじゃないか」と思い、秘書だけではなく自分が政治家になろうと決心し、2015年に立候補しました。
----荻野さんはホームページやTwitterで政策漫画や政治家漫画を掲載されています。地域の人や同僚から異色の存在として見られたりはしなかったのでしょうか。
周囲からは票が離れてくぞなどと言われていましたが、結構50代60代の人からは「漫画で見やすいよね」という感想をもらっています。よく萌えイラストを書いてもらうことが多いですが、面白いことにこれに対して不快感を示されるのは40代50代の人が多いです。つまりその絵がある種の記号として認識できる人であれば反応するし、逆に70代80代の人からは「あらかわいい子ね」と萌え系も非萌え系も同じ絵として見てくださる傾向にあります。やはりトライしてみないと分からないものだなと日々感じています。
----これまで太田区議会議員を2期務めた中で実現できたことを教えてください。
大きく2つあります。1つ目は使用済みおむつを保護者が持ち帰らなくてはならず、子育ての負担になっていた問題についてです。最近官房長官が保育園での処分を推奨すると発言していましたが、大田区では私が2018年に取り上げ、翌年には公立の保育園(認可保育園や認証保育園)で見直されました。
2つ目は自身の経験を活かして自殺問題を提起し続けてきたことです。日本で一番進んでいる市区町村には及びませんが、大田区はその次くらいのスピードで実現することができた自負があります。例えばインターネットでの広告配信、自死遺族の支援の会の創設、予算決算に自殺対策という文言が入ることなどを実現しました。1つの問題に関心のある議員がずっと議会で発信することで行政側の対応を変えることができると実感できました。
----次も大田区議会に挑戦すると伺いました。3期目で実現していきたいことを教えてください。
抽象的ではありますが、幅広い世代の声が通る風通しの良い太田区政を実現したいと思います。これまでの大田区は行政との付き合いのある議員や有力者の意見がよく通り、若い人は外や上に対して意見を言うことができませんでした。若い経営者が集まる日本青年会議所などで色々な意見を聞くと、行政の中とは異なる目線、感覚で区政を見ていることに気付かされます。例えば政治行政は若者が集まる街にしたいと考えていても、周りの川崎や渋谷、品川などを真似した案しか出て来ず、若い人は「本当に住民が喜ぶものにならない」とドライに見ています。幅広い世代の意見が通らない古い価値観で政治行政が動いていては、区は発展せず、多くの人も集まらず文化芸術も育っていきません。
----無所属でなぜ活動されているのですか。
1期目に挑戦した時は維新の党から出ました。2期目に挑戦するタイミングで無所属となりました。2期目は色々な政党と連携することができる無所属の良さを感じつつも、その限界やデメリットも感じることができました。すぐに政党に入るつもりはありませんが、これからも地域のために様々な政党と連携して政策を実現していきたいと思います。また私は無所属での活動の方が向いているとも思っています。
----前に1つの分野に関心を持つ議員が議会にいることで行政を動かすことができると仰っていました。荻野さんは2020年から「メタバース議員」として活動されていますが、このメタバースと政治との関わりについても教えてください。
少し前までメタバースバブルが盛り上がっており、これから落ち着いて実用性や価値が議論され、活用の幅が広がると思います。メタバースの良さは「距離」と「時間(過去のものを再現できるなど)」をなくすことができることにあると思います。
私は政治や行政のみならず、メタバースを使って体験の機会を増やしていきたいと考えています。去年硫黄島に行った時、その様子を映像で撮りメタバース上で再現しました。硫黄島は現在自衛隊でしかいくことができず、メタバースを通して初めて見た方も多くいました。また「19XXの大田区」など過去の歴史を没入感ある映像で体験することもできるでしょう。私はメタバースを活用して教育における「体験の格差」を解消していきたいと考えています。現在、単純な学力差だけでなく、人間関係や財産の有無により青少年時代の体験の質や量に大きな格差が生まれています。メタバースを活用することで「地方に住むこどもでも都会や海外の現場を見る」「海外に住む外国人の人と話す」といった様々な機会を提供できると思います。今後、これを政治や行政に活かしていきたいです。
----最後に、東京都大田区に住んでいる人、今後立候補を検討している若者に向けてメッセージをお願いしています。
現在、「政治って何をやっているのか」と思っている方はたくさんいます。私の立場からも時々よく分からなくなることがあります。今の政治行政を評価してほしいとは言いませんが、世の中を良くする上で政治の力は必要不可欠です。政治の助けを受けることができない人が多くなると治安も悪化し、自分の生活にも悪影響が及びます。ある政治家を応援するでも、自分たちが変えてやるでも手段は問いませんが、政治に対して関心を持ってほしいです。
また、今後、立候補する人はいつでも連絡してほしいです。